CIセラピー仙台クリニック設立計画と現在までの経緯

前に記したとおり、世界で初めてCIセラピーのクリニックがTaub Training Clinic としてアラバマ大学病院(UAB Health System)内に誕生してちょうど1週間目の2001年7月13日、私はアラバマ大学を訪問してProf Edward Taub 博士とそのスタッフとに面談した。 早速妻の治療を申し入れたが、すでに世界中から6000人もの治療申し込みが殺到しているとのことであった。 しかも一度に治療できる患者20人に過ぎないとのことで、このままでは何年待っても治療を受ける見込みはない。 わが日本においては、既存の医療機関が新しい医療技術を積極的に取り入れようとしない現状に鑑み、この上は唯一の残された手段として、仙台に CIセラピ-のクリニックを創立し、妻や、同じ苦しみに悩んでいる多くの人々に希望を与えたいと考えた。 宮城県当局と関係各機関の強力なご援助と、担当者各位の親身も及ばぬご助力で計画の実現に向けて邁進した。 経緯は概略次のようなものであった。 

2000/06

CIセラピ-の存在を知り、その開発者であるアラバマ大学の Edward Taub 博士(Taub Training Clinic {クリニック未開設段階})と 接触を開始

2001/06

アラバマ大学 Taub Training Clinic 開業

2001/07

アラバマ大学 Taub Training Clinic訪問、Taub 教授とスタッフから仙台クリニック開設についての基本的合意と協力の約束を得る

2002/01

仙台市泉区高森2-1-40 「21世紀プラザ研究センター」内に仙台クリニックの設立事務所開設

2002/05

「CIセラピ-仙台クリニック事業計画書」策定(第一次基本計画)

2002/07

宮城県有望ビジネス起業化促進事業に認定される(助成金\4,000,000.)

2002/09

アラバマ大学 Taub Training Clinic再度訪問、医療スタッフ、経営スタッフ、UAB顧問弁護士等と契約条件について協議

2003/01

アラバマ大学ヘルス・システム の CEO Mr David Fine と当事務所代表小笠原俊雄との間で "Service Agreement" (業務提携契約書)を締結、実施に向けて行動を開始する。

2003/04

アラバマ大学ヘルスシステム の CEO Mr David Fine と当事務所代表小笠原俊雄との間で "Service Agreement" (業務提携契約書)を締結されたことを受けて、このクリニックの成否の要となる「チ-フセラピスト」(医師同様に、患者の評定、プログラム正にの選定、現場でのセラピ-の監督等すべての実務の責任者)として、王治文 を採用した。

王治文博士の略歴は
・国立台湾大学作業療法科卒業
・台北振興リハビリテ-ション病院で作業療法士(OT)として2年間勤務
・中華民国作業療法士免許(OTR)
・東北大学大学院で傷害科学(人間行動学分野)専攻、修士号(MS)取得
・東北大学大学院で傷害科学(肢体不自由学分野)専攻
2003年3月卒業、障害科学博士号(Ph.D)取得と言う、学問は言うに及ばず、セラピ-の現場をも経験している稀にみる逸材であり、まことに余人をもって代え難く、創業期に彼女を得たことはこの事業の将来に明るい展望をもたらすものであった。

2003/6

このプロジェクトを進めるために小笠原と友人3名が発起人になり東京都の関係者事務所において第1回の発起人会議を開催した。

2003/7

東京都の関係者事務所において設立のための発起人会を開催、社名を「株式会社 リビングテクノロジ-」と定め、当初資本金を\ 10,000,000.として設立すること、ほか役員の候補者を選任した。

2003/7

「株式会社 リビングテクノロジ-社」を設立すべく仙台法務局に会社設立の登記申請を行った。

2003/8

「株式会社 リビングテクノロジ-社」を設立登記完了新会社役員の構成は

代表取締役会長小笠原俊雄
代表取締役社長K
その他の役員I、K

2003/8

王治文 アラバマ大学で研修のため Birmingham へ向けて出発した。

2003/8

王治文 アラバマ大学での研修を開始した。

2003/8

小笠原、諸資料を持参帰国した。

2003/9

CIセラピ-仙台センタ-開設のために「ピ-スビル西公園4階全階161.75m2」について賃貸借契約を締結、敷金等を支払。

2003/9

王治文、5週間の研修を終了して帰国した。

王博士がUAB より授与された研修修了証書

2003/9

東京都の関係者事務所に於いて取締役会を開催した。
議決事項 増資の件
増資引き受け人3社

(すべてそれぞれの社で
役員会承認済み)
230株\ 11,500,000.
小笠原俊雄100株\ 5,000,000.
合 計330株\ 16,500,000.

株式払込期日  10月10日

2003/9

アラバマ大学に当地でのOJTのためセラピスト1名派遣(3ヶ月程度)を要請。

2003/9

セラピ-用機器発注 発注先 酒井医療株式会社仙台営業所

2003/9

セラピ-用器具、アメリカSammons Preston 社に発注

と順調に進んだのであるがその後、10月10日の増資振り込み日を4日後に控えた10月6日になって、当時の社長であったKが突然「リビングテクノロジ-社はCIセラピ-の事業から撤退する」と宣言した。 当時は「とりあえずKの持ち金で設立し、早急に増資をして資本の充実を図る」との方針が発起人会で決定されていたところから、増資前の株式の90%がKの保有であったため、他の発起人、役員も異議を唱えることが出来ず、創立以来僅か3ヶ月で開業を目前にしたリビングテクノロジ-社は事実上一時頓挫した。

11月からは、再び「CIセラピー仙台クリニック設立事務所」としての活動を再開したが、総ての準備を整えていざ出帆とういう時の突然の出来事に、大きな後退を余儀なくされたことは事実である。 それでも11月には、アラバマ大学での評定で クオ-タイル-4(事実上CIセラピ-の治療での効果が期待できないとのランク)とされた妻の小笠原芳子のセラピ-を、王博士の技量保持も兼ねて(効果は期待できないにも関わらず)延べ15日にわたって実施した。 その結果、当初0.3と評定されたMVRの値が1.6と約5倍ののびるなどの結果となった。 本人は、親指が脱臼してその他の指も萎縮している状態なのでUABの評価のこともありあまり期待してはいなかったのであるが、実際には洗濯かごを両手で支えることが出来るようになるなど障害を受けたほうの腕の動きがほぼ自由なった。

何よりも本人が喜んだのは、当時1歳半になった孫娘を両腕で抱き上げることが出来るようになったことで、QOL(Quality of Life)に顕著な向上がみられた。 気のせいか、脳の働きが向上し判断力などの改善があるように思われる。 現在は自分で車を運転して通院、買い物など自由に行動している。 無駄と思われた試みであったが実際に行ってみなければわからない様々なことがわかって、施術者側、患者側の両方が抱える問題点が明らかになり、この後の事業展開に貴重な情報が得られたことも大きかった。